あーあ、 2006.06.03

腕時計がヒビ入った、よ orz
4月にゃ消えたのを必死こいて探したのに…
安かったけどお気にだったのに…
世の中とはままならないものですね。

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風神秘抄(荻原規子)読み終わった。これで胸張って図書館で本借りられます。延滞しっぱなしだったのさ。
今回は糸世にめろめろだ。ていうか女性陣には軒並みめろめろなのですが。長者さまはすごいインパクトがあった割にちょっとしか出てないのが残念です。鳥彦王の「雌の子」関連の発言は経験に裏付けられたものだったのかと思うと涙がちょちょ切れそう。
という思いを込めて、以下後日談妄想。

「二人ともよく帰ってきましたね」
青墓の長者は目を細めた。異能を失ってしまったと知っても、驚きはしなかった。二人がここに存在していることがどういうことか長者もまたわかっていた。
長者の両脇に控えていた双子が揃って飛び出した。草十郎と糸世にくるくるとまとわりつく。
「まひわが言っている。糸ねえさまが帰ってきてうれしい」
「あとりが言っている。草十郎が無事でうれしい」
糸世は双子を抱きしめた。
「ありがとう。わたしもあなたたちに会えてうれしいわ」
あとりとまひわはきゃっきゃと笑い、くるりと身を翻して今度は草十郎に抱きついた。
「草十郎もうれしい？」
無邪気な様子に草十郎も口元をほころばせた。
「ああ。……ところで二人ともちょっと離してくれないか」
双子はまだ背丈も小さいが、二人してつかまられると動きづらくて危なっかしい。見かねた糸世が口添えした。
「ほらあなたたち、いつまでもくっついてたら草十郎が動けないでしょ」
しかし双子は草十郎の両脇にべったりとしがみついた。
「やだ、糸ねえさま。草十郎はあとりとまひわの主さまなのよ」
「あとりとまひわは草十郎と『ねんごろ』なんだから」
糸世は目を丸くした。
「まあ、草十郎いつの間にこの子達とこんなに仲良くなったの」
草十郎は唸った。
「青墓の女のなかでは一番気安かったんだ」
長者がくすくすと笑う。
「やはり遊君は苦手かしら。残念ですね」
「いえ、苦手というか……」
草十郎は言葉を濁した。じつは遊君は、というより女への接し方自体よくわからないのだった。よくわからないのは糸世だけで十分だ。
何を感じ取ったものか、長者は目をきらりと光らせた。
「ではわたくしもあなたと『ねんごろ』になれましょうか」
そう言って秋波を送る。草十郎はうろたえた。ほおを染める草十郎を見て糸世は後ろにかばう様にして前に出た。
「おかたさま、草十郎はわたしのです。ちょっかい出さないでください」
長者は瞳に愉しげな色を浮かべた。驚いたのは草十郎だ。奇妙な展開に何にも言えなくなる。
「あらあらあなたも俗に染まってしまったこと」
と、長者は悲しげな様子を装う。明らかに楽しんでいる。
糸世はむすっとした。じとりと睨みつけるが、そこは流石に青墓の長者、まるで効いていない。
草十郎が途方に暮れていると、双子がひそひそと話し掛けて来た。
「まひわが言っている。おかたさまもねえさまも怖い」
「あとりが言っている。ほうっておいて草十郎のお世話する」
草十郎はなんとなく頷いた。この数分でどっと疲れた気がする。双子に両袖を引かれて歩き出す。
――ここで草十郎のすべきことはここから立ち去ることでは無かったのだけれど彼はそれには思い当たらなかった。
「あなた逃げる気!?」
気付いた糸世が鋭く問う。ぎくりとした瞬間、双子と足並みが揃わなくなりその場に倒れ込んだ。
「もうあなたたちも勝手に何してるの」
あとりとまひわは声を揃えて言い返した。
「だってつまらないのだもの。わたしたちが草十郎のお世話する」
「草十郎もわたしたちのほうがいいわよね」
と、半身を起こした草十郎にぴとっとはりつく。
すると一連の様子をおもしろそうに眺めていた長者も草十郎にしなだれかかってきた。低い声で耳元にささやく。
「あら、わたくしのほうがこのこたちよりよほどよくお世話できてよ」
糸世は顔を真っ赤にして叫んだ。
「あとりもまひわもおかたさまもいい加減にしてよ！」
草十郎はげんなりとした。
『雌同士が争うときには、かなり怖いことになるんだ』
（これはまた違うのかもしれないけれど……）
鳥彦王の言っていたことがわかった気がする。
カー、と烏の鳴く声がした。


あとりとまひわと長者さま

やりすぎた気がする……